「ゴミ箱設置に2ヶ月」の衝撃。安定の裏側にあった停滞への危機感
宮坂さんは2023年に中途でディップに入社されましたが、それまではメガバンクの融資課にいらしたんですよね。非常に責任の重い立場から、あえてディップという環境に飛び込んだ背景には、何があったのでしょうか。
銀行時代は、主に業績が苦しい企業の再建支援や債権回収に携わっていました。金融のプロとして、企業の格付けや融資の可否を判断する業務は非常にやりがいがありました。ただ、あまりにも組織が巨大すぎて、何を決めるにも膨大な時間がかかる。支店内にゴミ箱を設置するだけで2ヶ月もの稟議が必要だったこともあります。その時に「自分はこの組織の歯車として、10年後もこのスピード感で生きていくのか?」と、強い危機感を覚えたんです。
安定しているからこそ、自分の成長速度が制限されてしまうような感覚でしょうか。
おっしゃる通りです。一方で、ベンチャー企業に入った同級生たちは、泥臭く動き回りながらどんどん新しいことを形にしている。その差を目の当たりにして、「自分はこのまま停滞していていいのか」と焦りました。だからこそ、自分の頑張りがダイレクトに評価や組織の変化に直結する環境を求めて、ディップへの転職を決めました。
融資の判断をされる立場から、なぜ人材サービスのディップへ?
担当していた企業の経営者の方々と向き合う中で、一番多く耳にしたのが「人さえいれば、もっと売上が上がるのに」という切実な声だったからです。資金繰りの裏側にある「人手不足」という根本的な経営課題。ディップなら、自分のこれまでの視点を活かして、その核心に踏み込めるのではないかと考えました。
「中途だからこそ」の客観視。チームを支える「仕組み化」へのこだわり
入社後、着実に役割を広げ、昇格を重ねられています。ご自身の中で意識の変化はありましたか。
S3からS4へ上がったタイミングでリーダーを任され、自分の数字だけでなく「チーム全員が勝てる仕組み」を作らなければならないと感じました。フード業界に特化した組織へ移行する大きな変革期でもあったので、形だけの体制変更にしてはいけない、と。
具体的には、どのように「仕組み」を整えていったのでしょうか。
まずは自分がテストケースになって、主軸の『バイトル』以外のプロダクトや、新しい広告手法を徹底的に使い倒しました。そこで得た「この課題を持つお客様には、この順番で提案すればメリットが伝わりやすい」という解決の型をナレッジ化し、資料やステップに落とし込んで共有したんです。
自分がいないところでも、価値が提供され続ける状態を作る。
そうです。僕は仕事が属人化するのがすごく嫌いなんです。「宮坂だからできた」ではなく、僕が1ヶ月休んでも、チームのみんなが迷わずにお客様へ価値を届けられる状態を作っておきたい。それが、中途で入ってきた僕が組織に貢献できる、一つの形かなと思っています。
現場の「違和感」と「数字」を突き合わせ、お客様の最善を考える
現在、宮坂さんは準大手以上の企業様を担当されていますが、商談において特に大切にされている工夫はありますか?
自分の予算のことは一旦横に置いて、100%お客様のためになると確信できることだけを提案するようにしています。そのために欠かせないのが、銀行員時代に培った緻密なシミュレーションです。例えば時給改定の提案では、単に「上げましょう」ではなく、販管費の増加分と、定着率向上による採用・教育コストの削減効果を具体的な数字で提示します。
論理的な裏付けこそが、宮坂さんの誠実さの源泉なのですね。
加えて、自ら店舗に足を運ぶことも欠かせません。銀行時代の上司に「決算書以上に現場の違和感を大切にしろ」と言われ続けました。今も本社の方と話すだけでなく、店長さんの表情や現場の空気を肌で感じるようにしています。そこで得た「違和感」と、経営の「数字」を突き合わせて、最善の提案を届ける。この日々の泥臭い工夫こそが、僕なりの誠実さだと思っています。

自身の「硬さ」に悩みながら、後輩と一緒に歩んでいきたい
リーダーとして多くの後輩をサポートする立場になり、今感じている壁はありますか。
毎日、壁にぶつかっています(笑)。上司からもよく「硬すぎる」とフィードバックをもらっていて。正論や高度なテクニックを一方的に話してしまい、後輩をポカンとさせてしまったこともありました。「相手の気持ちを置き去りにして、自分の物差しを押し付けていただけだったな」とハッとしました。
相手の歩幅に合わせることの難しさを感じられたんですね。
今は、相手が今どんな景色を見ていて、何に不安を感じているのか。まずはそれをしっかり聞くことから始めようと、自分を律しています。仕組みを作ることは得意ですが、仲間の「気持ち」に寄り添い、共に熱量を高めていくコミュニケーションは、僕にとって大きな挑戦です。
仕組みと、一人ひとりの熱量。その両輪が必要だということですね。
はい。僕はまだ「仕組み」に寄りすぎなところがあるので、もっとメンバーと向き合い、泥臭い対話も大切にしていきたい。後輩たちには僕を追い越していくくらいの気持ちでいてほしいですし、僕自身も彼らから刺激をもらって、一緒に「働く喜び」を感じられるチームを作っていきたい。そんな未来を、この仲間たちと一緒に描いていければと思っています。













