「バイトルの日」を盛り上げる、10〜20代向けのエピソード募集LP


まずは今回のプロモーション施策と、LP制作の概要について教えてください。

毎年8月10日の「バイトルの日」に合わせてプロモーションを展開しているのですが、今年はTikTokコンテンツ『バイト先の先輩がメロすぎる』のスピンオフ企画として、ユーザーのみなさんから「バイト先であった胸キュンや感動のエピソード」を募集し、ドラマ化するという施策が進行しています。
私たちが担当したのは、そのエピソードを募集・告知するランディングページ(LP)制作です。ターゲットは10代後半〜20代後半のスマホユーザーで、世界観は明るいお祭り感、ポジティブで親しみやすいグラフィックを軸にしました。

鮮やかでキャッチーなデザインですね。こだわった点はどこですか?

本来はビジュアルを自由に作り込みたい気持ちもありましたが、閲覧環境やターゲット層を踏まえて、装飾の複雑さよりも「一目でお祭り感が伝わるかどうか」を優先する、という判断をしました。
そのうえで、元気で活発な軸と、穏やかで優しい軸の2パターンでポジティブな表現を模索し、チーム内で参考事例を持ち寄りながら方向性を固めていきました。「お祭り感」や「前向きな気持ちになれる楽しさ」をビジュアルで表現することに一番こだわりました。

制作現場では、どのような難しさや葛藤がありましたか?

理想を言えば、背景にアクセント要素を入れるなど、華やかで楽しそうな雰囲気をとことん作り込みたい気持ちがありました。ただ実際には、「ビジュアル的なリッチさ」と「実装のしやすさ」というトレードオフがあります。
凝りすぎると開発担当の実装が追いつかず、「最終的にX(旧Twitter)に投稿して応募完了にしたい」といった機能要件や、限られたスケジュールでの安全なリリースも守れなくなってしまう。
だからこそまず投稿フォームや拡散導線など機能面を先に固定し、そのうえでビジュアルの作り込みに時間を配分するという優先順位を決めました。あわせて制作の初期段階から、マーケティング担当者や開発担当と認識合わせを徹底し、終盤での大きな方針変更を防ぐようにしています。
AIを相棒に「2時間の作業を10分へ」。浮いた時間を表現の試行錯誤へ


デザインガイドラインやAIチェッカーといった組織的な仕組み化は、今回のプロジェクトにどう活かされましたか?

デザインガイドラインやAIチェッカーが機能しているおかげで、デザイナー以外のメンバーも制作物の一次チェックができるようになり、デザインセンターへの細かな修正相談の負担が減少しています。そうして創出された組織的なリソースがあったからこそ、今回のような注力案件にパワーを集中させることができました。

石井さんご自身の制作プロセスでも、AIを活用されたんですか?

はい、かなり活用しました。ワイヤーフレームの構成要素をAIに出してもらったり、Photoshopの生成AI機能で画像を加工したり。昔なら夜中に2時間かけていた画像の切り抜き作業が、今では10分足らずで終わります。ほかにも、方向性を固めるためのアイデアの壁打ち相手にしたり、社内向けの確認連絡の文面を整えるのに使ったりしています。

2時間が10分に短縮されるのは大きなインパクトですね。その浮いた時間はどのように活用されたのですか?

デザインのラフ案を何パターンも作って細部のニュアンスを比較検討したり、ユーザーの感情導線を詰める作業に充てることができました。単に作業を速く終わらせるだけでなく、「より良い表現を探求する時間」に転換できたのは大きなメリットです。
「感情や文脈を汲み取るUX設計」は、AIには真似できない


時間の使い方が変わったんですね。今回、特にこだわったのはどんな部分だったんですか?

ユーザーの感情や文脈を汲み取ったUX設計と、情報密度のコントロールです。AIに指示を出せば、それっぽいワイヤーフレームや綺麗なグラフィックは作れます。でも「ユーザーがファーストビューのどこで興味を持ち、どんな感情の動きで応募フォームまで辿り着くか」というストーリー設計や、「どこに要素を凝縮させ、どこで余白を作って息をつかせるか」という細やかな塩梅は、人間の目と感性でしか判断できないと思っています。

なるほど。実際の制作では、どんなふうに調整していくんですか?
AIが6〜7割のベースを作ってくれたとしても、画面を見た時に「もっとこう調整したほうが気持ちいいな」と気づき、ミリ単位、ピクセル単位で要素を詰めていけるのが人間のデザイナーの強みです。

今回のLPも、ボタンの角丸ひとつ、文字と余白のバランスひとつで「押してみたくなる」印象が変わってくるので、公開直前まで細かい調整を重ねました。整っているだけのデザインではなく、人の心を動かすグラフィック表現は、これからも人間が徹底してこだわり抜くべき領域だと実感しています。
仕組み化の先にある、新しいデザイン組織のあり方


マーケティングチームや社内からの反響はいかがですか?

今回のLPで目指していたのは、見た瞬間に「お祭り感」が伝わり、思わず参加したくなるという反応でした。テスト環境で確認してもらったマーケティング担当の方々から「すごく可愛いです!素敵です!」という、まさに狙い通りの声をいただけていて、方向性は間違っていなかったと感じています。実際にユーザーの方々からたくさんの素敵なバイトエピソードが集まるのが今から楽しみです。

今後挑戦したいクリエイティブや、デザイナーとしての想いを教えてください。

仕組みによって生まれた時間を使って、これからはデザインを作る前段階の「相手への深い理解」にもっと時間を当てていきたいです。「AIや自動化が進めばデザイナーはいらなくなるのでは」と言われることもありますが、定型的なUI制作が効率化されても、「誰のためにどんな体験を作りたいのか」を考え、感情に働きかけるデザインの領域は絶対に無くなりません。

仕組み化とクリエイティブの追求は、対立するものではないんですね。

むしろ逆で、仕組みを賢く使って生まれた余白があるからこそ、徹底的に人間の感性を磨き上げ、「心から喜んでもらえるクリエイティブ」を追求していけるんです。ディップには、デザイナーが最も面白い"意匠力の追求"に全リソースを注げる環境が整ってきています。これからも人の心に届くデザインに挑戦し続けていきたいです。

仕組み化を武器に、人間の感性を極限まで高めていくディップデザインチームの姿勢が伝わってきました。本日はありがとうございました!

